頭蓋縫合早期癒合症
頭蓋縫合早期癒合症
赤ちゃんの頭の形が左右非対称だったり、細長かったりすると、「向きぐせかな?」と心配になることがあります。
頭の形のゆがみの多くは、向きぐせなどによる位置的頭蓋変形ですが、まれに**頭蓋縫合早期癒合症(とうがいほうごうそうきゆごうしょう)**という病気が隠れていることがあります。
頭蓋縫合早期癒合症は、位置的頭蓋変形とは原因も治療も異なるため、適切に見分けることが大切です。
赤ちゃんの頭蓋骨はいくつかの骨に分かれており、骨と骨の間には**「頭蓋縫合」**というつなぎ目があります。
頭蓋縫合が開いていることで、脳の成長に合わせて頭蓋骨も大きく成長できます。
頭蓋縫合早期癒合症は、本来まだ開いているはずの頭蓋縫合の一部が早期に癒合してしまう病気です。
癒合した方向への頭蓋骨の成長が制限されるため、癒合した縫合によって特徴的な頭の形になります。
最も気づきやすいのは、特徴的な頭の形です。
癒合する頭蓋縫合によって、
など、さまざまな形になります。
一部では頭蓋内圧が高くなることがあり、重症度やタイプによっては脳や視機能などへの影響が問題になることがあります。そのため、形だけの問題ではなく、専門的な評価が必要な病気です。
多くの場合、頭蓋縫合が早く癒合する明確な原因は分かりません。
一つの縫合だけが癒合する非症候群性のものと、遺伝子の変化などが関係し、顔面や手足などにも特徴を伴う症候群性のものがあります。
症候群性の代表として、
Apert(アペール)症候群
Crouzon(クルーゾン)症候群
Pfeiffer(ファイファー)症候群
などがあります。
症例によっては遺伝学的検査が検討されます。
赤ちゃんの頭の形がゆがんでいるからといって、頭蓋縫合早期癒合症とは限りません。
実際には、向きぐせや同じ向きで寝ることなどによって生じる**位置的頭蓋変形(斜頭症・短頭症など)**が多くみられます。現在の当院「あたまのかたち外来」でも、この2つを区別して診察しています。
位置的頭蓋変形では頭蓋縫合そのものは正常ですが、頭蓋縫合早期癒合症では縫合そのものが早く癒合しているという違いがあります。
頭蓋縫合早期癒合症そのものを、向きぐせを変えたり、タミータイムをしたりすることで治すことはできません。
一方、位置的頭蓋変形では、月齢や程度に応じて、
などが有効なことがあります。当院でも位置的頭蓋変形に対してこれらを組み合わせて提案しています。
**「頭の形が気になる=ヘルメット治療」ではありません。**まず原因を確認することが大切です。
なお、頭の形が気になっても、睡眠中はSIDS予防のためあお向け寝を続けてください。
次のような場合には、一度頭の形についてご相談ください。
頭蓋縫合早期癒合症は比較的まれな病気ですが、疑われる場合には早期に専門医へつなぐことが重要です。
頭蓋縫合早期癒合症は感染症ではありません。
病気そのものを理由に登園を制限するものではありませんが、手術を行った場合には、術後の状態や主治医の指示に従って生活を再開します。
頭蓋縫合早期癒合症では、病型や重症度、月齢などを総合的に評価し、専門施設で治療方針を決定します。
必要な場合には、頭蓋骨を広げ、脳が成長できるスペースを確保するとともに、頭蓋の形を整える手術が行われます。
手術には複数の方法があり、従来の頭蓋形成術、骨延長法、症例によっては縫合切除術と術後のヘルメット治療を組み合わせる方法などがあります。どの方法を選択するかは、病型・年齢・医療機関などによって異なります。形成外科診療ガイドラインでも、複数の手術方法について検討されています。
当院のあたまのかたち外来では、小児科専門医が赤ちゃんの頭の形を診察します。
などを行います。
頭蓋縫合早期癒合症が疑われる場合には、当院でヘルメット治療を開始するのではなく、小児脳神経外科などの専門医療機関へご紹介します。
いいえ。
赤ちゃんの頭の変形の多くは、向きぐせなどによる位置的頭蓋変形です。
ただし、見た目だけでは判断が難しいこともあるため、変形が強い場合や気になる場合には一度ご相談ください。
絶壁や斜頭症などの位置的頭蓋変形は、柔らかい赤ちゃんの頭に外からの圧力が加わることで生じ、頭蓋縫合は正常です。
頭蓋縫合早期癒合症は、頭蓋縫合そのものが通常より早く癒合してしまう病気です。
原因が異なるため、治療方法も異なります。
一般的な位置的頭蓋変形に対する頭蓋形状矯正ヘルメットだけで治療する病気ではありません。
頭蓋縫合早期癒合症が疑われる場合には専門医による評価が必要です。
なお、一部の頭蓋縫合早期癒合症では、専門施設で縫合切除術を行った後にヘルメットを使用する治療法があります。これは位置的頭蓋変形に対する通常のヘルメット治療とは異なります。
特徴的な頭の形から疑うことはできますが、確定診断には専門医による診察や画像検査が必要になることがあります。
ガイドラインでは、診断における単純X線撮影やCTなどの画像検査について検討されています。
3Dスキャンは頭の表面形状を評価する検査であり、頭蓋縫合そのものが癒合しているかを確定する検査ではありません。
当院では3D形状だけで判断せず、頭囲、大泉門、頭蓋縫合、顔貌、発達、神経学的所見などを総合的に評価し、疑わしい場合には専門医療機関へご紹介します。
頭の形が気になる場合には、乳児期の早い段階で一度評価を受けておくとよいでしょう。
位置的頭蓋変形であれば月齢に応じた対応を検討できますし、まれな頭蓋縫合早期癒合症が疑われる場合には、早期に専門医へつなぐことができます。