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子どものインフルエンザワクチンには、従来の「注射ワクチン」と、鼻に噴霧する「フルミスト」があります。どちらか一方がすべてのお子さんに優れているわけではありませんが、2歳以上で接種条件を満たすお子さんには、針を使わず1回で完了するフルミストもおすすめです。
「痛くないフルミストがよい?」
「注射との効果の違いは?」
それぞれの特徴を知り、お子さんに合ったワクチンを選びましょう。
今年も早めに備えましょう
インフルエンザは例年、冬に大きく流行しますが、近年は流行の始まる時期が早くなることがあります。
2025/26シーズンは、全国で例年より早い9月下旬に流行入りしました。千葉県では2025年9月15~21日の時点で流行開始の目安を超え、11月には前シーズンより5週間早くインフルエンザ警報が発令されました。
また、2026年は夏に患者報告が続いています。千葉県の定点当たり報告数は、8月3~9日に0.55となり、前週の0.47から増加しました。
県全体では本格的な流行入りの目安である1.00には達していませんが、すでに小規模な発生がみられています。「まだ秋ではないから大丈夫」とは限らないため、流行が本格化する前に接種を済ませておくことが大切です。
注射とフルミストの違い
| 注射ワクチン | フルミスト | |
|---|---|---|
| 種類 | 不活化ワクチン | 弱毒生ワクチン |
| 接種方法 | 腕などに注射 | 左右の鼻に噴霧 |
| 対象年齢 | 生後6か月以上 | 2歳以上19歳未満 |
| 接種回数 | 13歳未満は通常2回、13歳以上は原則1回 | 年齢にかかわらず1回 |
| 主な副反応 | 接種部位の痛み・赤み・腫れ、発熱など | 鼻水・鼻づまり・咳・のどの痛み、発熱など |
| 喘息がある方 | 接種可能 | 注意が必要 |
| 特徴 | 接種できる方の範囲が広い | 痛みがなく、1回で完了 |
*日本小児科学会は、2歳以上19歳未満では、注射とフルミストを同等に推奨しています。ただし、インフルエンザの予防効果について、どちらか一方に明確な優位性があるとは確認されていません。日本小児科学会
フルミスト
弱毒化したインフルエンザウイルスを、左右の鼻に1回ずつ噴霧するワクチンです。
長所
- 注射の痛みがない
- 1シーズン1回で完了する
- 注射への恐怖が強いお子さんの負担を減らせる
- 鼻の粘膜と全身の免疫を誘導する
- 予防効果が比較的長く続く可能性がある
*海外の小児を対象とした研究では、接種後9~12か月や翌シーズンにも一定の予防効果が認められています。
*ただし、流行するウイルス株は毎年変化します。「1回接種すれば翌年は不要」という意味ではなく、フルミストも毎年の接種が必要です。
短所・注意点
- 対象年齢が2歳以上19歳未満に限られる
- 接種後約1週間は、ワクチン由来のウイルスによってインフルエンザ迅速検査が陽性になることがある
- 接種前後に抗インフルエンザ薬を使用すると、ワクチンの効果が弱まる可能性がある
- 鼻水・鼻づまりなどが起こることがある
- 喘息や免疫機能の状態などにより、接種できないことがある
- 鼻への噴霧を強く嫌がるお子さんには向かない
- 弱毒生ワクチンのため、接種できる方の条件が注射より厳しい
*接種後に発熱などで受診する際は、フルミストの接種日を医療機関へお伝えください。フルミスト接種直前に、抗インフルエンザ薬を使用した方は、注射ワクチンを選択してください。
注射ワクチン
弱毒化した生きたウイルスを含まない、不活化ワクチンです。
長所
- 生後6か月から接種できる
- 喘息や基礎疾患があるお子さんにも選びやすい
- 接種できる方の範囲が広い
- 長年使用されてきた実績がある
短所
- 注射の痛みがある
- 13歳未満は通常2回の接種が必要
- 接種した部分が赤くなったり、腫れたりすることがある
迷ったときの選び方

まずは、接種するときの年齢を確認します。
-
生後6か月未満
→ どちらも接種できません
-
生後6か月以上2歳未満
→ 注射ワクチン
-
2歳以上19歳未満
→ 注射ワクチンまたはフルミスト
-
19歳以上
→ 注射ワクチン
2歳以上19歳未満で迷ったら
-
痛みを避けたい、1回で終えたい
→ フルミスト
-
喘息で治療中
→ 注射ワクチン
-
免疫機能に関係する病気や治療がある
→ 注射ワクチン
-
鼻への噴霧が苦手
→ 注射ワクチン
-
どちらにするか決められない
→ 接種できる方の範囲が広い、注射ワクチンが選びやすいでしょう。
喘息で治療中の方へ
日本小児科学会では、喘息のあるお子さんには、フルミストより注射ワクチンを推奨しています。
当院では、次に該当する方には注射ワクチンをおすすめします。
- 現在、ゼーゼーしている
- 喘息の症状が安定していない
- 他院で喘息治療を受けている
*当院で喘息を管理しており、症状が安定している方でフルミストを希望される場合は、予約前にご相談ください。
どちらを選んでも大切なこと
インフルエンザワクチンは、接種すれば絶対に感染しないものではありません。しかし、発症する可能性を下げ、重症化を予防する効果が期待できます。
年齢、基礎疾患、接種回数、痛みへの不安、お子さんの性格などを考え、ご家庭に合ったワクチンを選びましょう。
フルミストを接種できない方、使用中の薬、接種後の注意点、予約方法などについては、インフルエンザワクチンの診療案内をご確認ください。
*インフルエンザワクチンの診療案内は、近日中に公開予定です。
参考文献
- PMDA「フルミスト点鼻液 添付文書」2026年8月改訂
- 日本小児科学会「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール」2026年4月1日版
- 日本小児科学会「経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの使用に関する考え方」
- 日本小児科学会「2025/26シーズンのインフルエンザ治療・予防指針」
- 千葉県「インフルエンザの流行シーズン入りについて」2025年9月24日
- 国立健康危機管理研究機構「2025年第49号・注目すべき感染症 インフルエンザ」
- 千葉県感染症情報センター「感染症発生情報」2026年第32週
- Ambrose CS, et al. Duration of protection provided by live attenuated influenza vaccine in children. Pediatr Infect Dis J. 2008;27:744-748. PubMed
- Block SL, et al. Efficacy and safety of 1 and 2 doses of live attenuated influenza vaccine in vaccine-naive children. Pediatr Infect Dis J. 2009. PubMed
- Belshe RB, et al. The efficacy of live attenuated and inactivated influenza vaccines in children as a function of time postvaccination. Pediatr Infect Dis J. 2010. PubMed
医療監修
みずたまこどもクリニック 院長
田中瑞恵(小児科専門医)







