
目次
「熱が出たけれど、いつ受診したらいいの?」
「インフルエンザの検査は、発熱してから何時間後がいい?」
「鼻の検査は痛みが強く、うまく検査できるか心配……」
インフルエンザが流行する時期には、受診や検査のタイミングに迷うご家庭も多いと思います。
従来の迅速抗原検査は、発熱直後に行うと、インフルエンザに感染していても陰性になることがあります。そのため、検査まで一定の時間をおいていただくことがありました。
一方、熱が出たお子さまを見守りながら、「インフルエンザかもしれない」と待つ時間は、ご家族にとって不安なものです。また、鼻の奥に綿棒を入れる検査は痛みが強く、検査自体が難しいお子さまもいます。
そこで当院では、発熱後のできるだけ早い段階から、負担を抑えて検査できる選択肢として、AI搭載インフルエンザ検査機器「nodoca(ノドカ)」を導入します。
当院のインフルエンザ検査の目安
ご家庭を含め、初めて38.0℃以上を確認した時刻を「発熱した時刻」とします。解熱剤で熱が下がっても、経過時間はリセットしません。

6歳未満のお子さまは、発熱から12時間たっていない場合、原則としてインフルエンザ検査を行いません。発熱から12時間後を目安に、迅速抗原検査の必要性を判断します。
6歳以上のお子さまでは、発熱後6〜12時間未満はnodoca、12時間以降は迅速抗原検査を原則とします。
これらは、検査結果が急に変わる絶対的な境界ではなく、検査の特性を踏まえた当院の目安です。検査を行うかどうか、どの検査を選ぶかは、診察結果をもとに医師が判断します。
なぜ発熱直後は検査をしないの?
迅速抗原検査は、鼻などから採取した検体に含まれるウイルスの成分を調べます。
発熱直後はウイルス量がまだ少なく、インフルエンザに感染していても陰性になることがあります。
国内の一つの研究では、感染者を正しく陽性と判定できた割合は、発症から12時間未満では38.9%、12〜24時間では40.5%、24〜48時間では65.2%でした。
早すぎる検査による偽陰性や、何度も検査を受ける負担を減らすため、当院では年齢と発熱からの時間を確認して検査を検討します。
ただし、インフルエンザの診断に検査が必ず必要なわけではありません。ご家族や園・学校での流行状況、接触歴、症状や経過などから、医師が検査を行わずにインフルエンザと診断することがあります。
検査の目安時間より前でも受診できます
当院では原則として、6歳未満のお子さまは発熱から12時間後、6歳以上のお子さまは発熱から6時間後を検査検討の目安としています。
ただし、これは「その時間まで受診できない」という意味ではありません。
検査の目安時間より前でも受診は可能です。この場合、インフルエンザ検査は原則として行いませんが、診察でお子さまの状態を確認し、必要に応じて解熱剤の処方などの対症療法を行います。その後の経過から検査が必要と判断した場合は、適切なタイミングをご案内します。
特に、
- ぐったりしている
- 呼吸が苦しそう
- 水分がとれない
- 何度も吐いている
- けいれんした
- 顔色や反応がいつもと違う
といった場合は、検査の目安時間まで待たずに受診してください。
早い段階で受診した場合も、必ずインフルエンザ検査を行うわけではありません。検査より先にお子さまの状態を確認し、その時点で必要な診察や治療を行います。
AI検査「nodoca」とは?
nodocaは、専用カメラで撮影したのどの画像と、体温や症状などをAIが解析し、インフルエンザの診断を支援する医療機器です。
鼻の奥まで綿棒を入れないため、従来の検査より痛みを軽減できます。撮影と情報の入力後、判定結果は数秒〜十数秒で表示されます。
対象は6歳以上です。6歳未満では検査性能と安全性が確認されておらず、保険診療の対象にもなっていないため、当院では実施しません。
また、6歳以上でも、お口を十分に開けられない、動いてしまうなど、のどを撮影できない場合には実施できません。
nodocaと迅速抗原検査の違い
| nodoca | 迅速抗原検査 | |
|---|---|---|
| 検査方法 | のどの画像と症状をAIで解析 | 鼻などから検体を採取 |
| 対象年齢 | 6歳以上 | 年齢による一律の制限なし |
| 痛み | 比較的少ない | 鼻の奥に痛みを感じることがある |
| 当院での目安 | 発熱後6〜12時間未満 | 発熱後12時間以降 |
| 感度 | 76.0% | 一般に約50〜70% |
| 特異度 | 88.1% | 一般に約95〜99% |
| A型・B型 | 判別できない | 多くのキットで判別可能 |
※異なる研究や条件で得られた数字のため、単純に優劣を比較することはできません。
感度・特異度って何?
「感度」は、感染している人を正しく陽性と判定できる割合です。
感度76%の場合、感染している100人のうち約76人を見つけられますが、約24人は感染していても陰性になる可能性があります。
「特異度」は、感染していない人を正しく陰性と判定できる割合です。
特異度88%の場合、感染していない100人のうち約88人は正しく陰性になりますが、約12人は感染していなくても陽性になる可能性があります。
nodocaも迅速抗原検査も、結果だけでインフルエンザを完全に診断・否定することはできません。
nodocaと抗原検査を両方受けられる?
nodocaと迅速抗原検査は、原則として同じ一連の発熱・症状の期間に両方を保険診療で行うことはできません。
そのため、「nodocaが陰性なら続けて抗原検査を行う」という二段階の検査を、ご希望によって行うことはできません。
年齢、発熱からの時間、症状などから、適した検査を医師が選択します。
ご家族の不安と、お子さまの負担を少しでも軽く
発熱したお子さまを前に、検査できる時間まで待つことに不安を感じるのは自然なことです。また、鼻の検査を怖がったり、痛みのために検査が難しかったりするお子さまもいます。
nodocaの導入により、6歳以上のお子さまでは、従来より早い段階から、痛みの少ない方法で検査できる選択肢が増えます。
一方で、早すぎる検査や必要性の低い検査は、かえって診断を難しくしたり、お子さまの負担を増やしたりすることがあります。症状や接触歴から、検査を行わずにインフルエンザと診断する場合もあります。
当院では、ご希望に応じて一律に検査を行うのではなく、ご家族のお気持ちにも寄り添いながら、その時点で必要な診察・検査・治療を選択していきます。
参考文献
医療監修
みずたまこどもクリニック 院長
田中瑞恵(小児科専門医)







